おろ?

るろうに剣心


実写版るろうに剣心観てきた。
なぜ実写化したし……と思っていたが、周囲の(ネタ的な)期待を裏切り大ヒット中らしい。
しかも、観た人の感想も悪くないようなので、ノーチェックだったのに俄然興味が沸いてきた。


なので観てきた。
その日のうちにレイトショーの有無を確認。席はネット予約。最後列のど真ん中を確保。
やはり映画はレイトショーだよ。空いてる上に料金も割引されてるとか素晴らしい。



以下はネタバレになるので、これから観に行くつもりの人はご注意を。



↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ネタバレ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓































  • ストーリー


最初は原作と違い、戊辰戦争で剣心が戦う姿から始まる。
斎藤一(江口洋介)、鵜堂刃衛(吉川晃司)もこの戦争に参加していて、剣心と何らかの形で関わっていた……という原作を知らない観客(いるのか?)への説明になっていた(と思う)。
この戦争時のアクションがすでに「これは少なくともアクションには期待できるぞ……」と思える出来だった。


それから10年。
原作通り、巷を騒がす「人斬り抜刀斎」に間違えられた剣心と薫が出会うところから始まるが、ストーリー的には映画用に原作のエピソードを混ぜ合わせている。

具体的には
・導入〜比留間兄弟による神谷道場乗っ取り事件
・鵜堂刃衛の辻斬り事件
・武田観柳の阿片密売&高荷恵事件

をひとつの流れに再構成した感じ。
骨子となるのが武田観柳事件。
その配下として、鵜堂刃衛が人斬り抜刀斎名乗り事件を起こし、神谷道場の乗っ取りも武田観柳の計画の一部であるという流れ。
さすがに御庭番衆まで出してると、話的にも時間的にも収まりきらないとの判断か、武田観柳の配下(戦闘要員)は3人。
鵜堂刃衛、外印、戌亥番神だった。


鵜堂刃衛は観柳邸の後に控えるラスボス。
あとの二人はどこから持ってこよう。まぁわざわざオリジナルではなく原作キャラを使えば良いよね……と思ったのかは定かではないが、この二人、名前だけでまるっきりオリジナルだった。
公式サイトすら見てなかったので、最後スタッフロールで流れた名前を見て初めて、「外印と戌亥番神だったのかよ!」と驚いた。
だってお前、あの仮面被ってる敵は御庭番衆の般若君の名残かな? とか思ってたし、戌亥番神に至っては髪型くらいしか共通点がねぇよ。理知的だったし。そんなん分からんて。無敵鉄甲使ってればすぐに気付いたんだろうけど。

戦闘スタイルについても、戌亥番神と左之助は素手の殴り合い。これはまぁ良い。二重の極みと無敵鉄甲が無ければ当然そうなるわな。問題は外印。いや、アクションは良かった。近接戦闘なんてガン=カタ並(最大級の褒め言葉)だと思った。
でも外印の最初の拳銃乱射はいただけない。


明治11年。ガトリング砲はあるけどオートマチック拳銃はありません。


まぁトンデモ剣法があるんだし、時代考証についてもせいぜい十数年のずれなんだから堅いこと言うなよ……と思わなくも無いんだけど、そもそも外印が持ってた銃ってあんなに連射できそうにない見た目なんだよね。細かいようだがそこが妙に気になった。


最後の鵜堂刃衛との対決はほぼ原作通り。攫われた薫を助けるために、剣心が単身刃衛に戦いを挑む。
刃衛の斬撃を柄で弾くが、背車刀で反撃されるという流れが再現されてるのには驚いた。しかもかなり淀みなく。「ここで弾く!」みたいな心理描写がないので、スピード感が半端ない。早すぎて、原作を知らないと何が起こったか分からないんじゃなかろうか。


背車刀は素直に感心したが、最後の飛天御剣流・双龍閃は地味だった。
原作では刃衛の「ここで避くる! 勝った!」みたいな心理描写のあと、鞘による二段抜刀術でやられたんで衝撃があったんだけど、映画では一段目の抜刀術はわざとハズして、わざわざ鞘を当てたような、なんとも中途半端な見た目になっていた。

なんというか、普通の殺陣のシーンが良く出来ているので、いざトンデモ剣法を再現しようとするとかえって地味になるというよく分からない現象が起きているように思える。


  • キャスト
    • 緋村剣心 - 佐藤健 こんなに動ける人だとは知らなかった。今後も要チェック。
    • 神谷薫 - 武井咲 公開前の画像ではイマイチだったけど、劇中では普通に可愛かった。
    • 鵜堂刃衛 - 吉川晃司 ハマリすぎ。
    • 高荷恵 - 蒼井優 公開前の画像では良さそうだったけど、劇中ではイマイチだった。てゆーか何故麻呂眉。
    • 相楽左之助 - 青木崇高 ちょっとイメージにはタッパが足りないような気がした。でも良い身体してるわー。
    • 外印 - 綾野剛 原作の外印って老人じゃなかったっけ?
    • 明神弥彦 - 田中偉登 出番自体があまり……
    • 浦村署長 - 斉藤洋介 見た目そのまんま過ぎw
    • 武田観柳 - 香川照之 原作よりも憎めない、笑える悪党になってた。これはアリだと思う。
  • 総括

漫画原作の実写化である以上、登場人物の多少のギャップは仕方ないだろう。演技に関しても同様。剣心の「ござる」口調は実写だとかなり変だがそこは原作通りなんだからそれこそ仕方ない。
ストーリーに関しては、原作に沿いつつ、約2時間という枠に収めるには無難な流れになっていたと思う。
アクションは極上。殺陣は気合い入ってるし、「あー、剣心ならこんな動きしそうだわー」と思う所もあり、見事な出来だった。
原作レイプどころか、リスペクトを感じられる作品に仕上がっている。一見の価値あり。DVDというかBlu-rayが出たら買う。あのアクションはまた見たいと素直に思った。


今作で主要登場人物は出揃っている(京都編以降の登場人物を出すには映画だと尺的に無理があると思う)ので、続編を作るなら、役者が各々掴んだであろうキャラクターを活かしつつ、原作に拘らずオリジナルの、映画の枠で無理なくまとまった脚本とアクションを観たい。
最終興収40億円を見込めるヒットなら続編考えてもおかしくないだろう。是非作って欲しい。


※追伸
剣心の物語上重要なエピソードである十字傷の一字を付けた清里明良の斬殺シーンも回想されていた。
原作では、生きようとする強い意志故に、剣心相手に粘り、ついには頬に一矢報いたのだが……今作では、全員殺したと思って、剣心は立ち去ろうとするんだが、清里明良がうめき声と共に「死ねないんだぁぁ……!」とか言いながら何度も起き上がるもんだから、その度に足を止めた剣心に斬られるという、もうお前黙って死んだフリしとけよ! とツッコミたくなるような、シュールなシーンになっていた。
ついでに言うと、斬っても斬ってもなかなか死なないドリフのコントを思い出して、かなりシリアスなシーンなのに吹き出しそうになってしまった。